【扶桑電通(7505)】が市場を席巻した理由:業績・配当W上方修正と今後の成長戦略

衝撃のPTSストップ高:何が市場の熱狂を引き起こしたのか

2025年10月17日、東証スタンダードに上場する情報通信システムサービス企業、扶桑電通(7505)の株価が、時間外取引であるPTS(私設取引システム)において、終値を大幅に上回る水準で取引され、実質的なストップ高水準に到達しました。同日の東証終値が1,458円であったのに対し、PTSでは一時1,758円をつけるなど、市場の注目を一気に集めました。
この劇的な株価上昇の背景には、同日公表された2025年9月期通期業績予想と配当予想の「ダブル上方修正」があります。特に、業績の劇的な改善と、株主還元へのコミットメントを強化する新方針の打ち出しが、投資家からの評価を飛躍的に高める要因となりました。

扶桑電通が示した新しい通期業績予想は、従来計画を大きく上回るものであり、前期実績と比較しても圧倒的な成長を示しています。さらに、配当方針の変更とそれに伴う大幅増配は、同社が安定的な高収益企業へと変貌しつつあることを強く印象付けました。本稿では、今回の上方修正の詳細、その背景にある事業環境、そして中長期的な成長見通しについて、詳細に分析します。


業績予想の劇的な改善:利益は前回予想を3割以上も上振れ

扶桑電通は2025年9月期の通期個別業績予想を、2025年7月14日に公表していた前回予想から大幅に修正しました。

1. 新旧予想の比較とインパクト

項目前回発表予想(百万円)今回修正予想(百万円)増減率(%)前期実績(2024年9月期)(百万円)
売上高52,00054,6845.246,778
営業利益2,6003,42831.81,865
経常利益2,8203,66329.92,059
当期純利益1,8502,51736.11,428
1株当たり当期純利益318.93円433.65円247.04円

修正後の予想は、売上高が前回予想比+5.2%の546億84百万円となりましたが、注目すべきは利益項目の伸び率です。営業利益は+31.8%、経常利益は+29.9%、当期純利益に至っては+36.1%の上振れ見込み。当期純利益25億17百万円は、前期実績14億28百万円比で+76.3%という大幅増です。
この修正により、EPS(1株当たり当期純利益)433.65円(株式分割前ベース)へと引き上げられ、収益力の飛躍的な向上を示しています。

2. 修正の主要因:オフィス部門の好調と粗利益率の改善

今回の業績上方修正の主因は、オフィス部門の売上が前回予想を上回る見込みとなったことです。
ICT業界では、業務効率化・生産性向上を目的としたシステム投資、そしてDX投資が堅調。同社は第3期中期経営計画「FuSodentsu Vision 2027」の下、業種区分を基軸とした価値提供を推進しています。
オフィス部門の売上増に加え、原価低減と
粗利率の改善が利益を押し上げており、収益性の高い案件獲得やコストマネジメントの成果が示唆されます。


株主還元策の抜本的強化:高水準な配当方針を確立

業績上方修正に加え、投資家が最も好感し、PTSストップ高の決定的な理由となったのが、配当予想の大幅修正新たな株主還元方針の公表です。

1. 大幅な増配の実施

項目第2四半期末実績期末配当予想合計(年間配当金)
前回予想(円 銭)15円00銭113円00銭128円00銭
今回修正予想(円 銭)15円00銭159円00銭174円00銭

前期実績88円00銭と比較しても、年間配当は倍近い水準となりました。

2. 新たな配当方針:安定性と収益連動性の両立

同社は、株主への利益還元を重要課題と位置付け、業績連動安定還元の両立を基本方針に明確化。
年間配当の設定基準は以下の通りです。

  • 配当性向40%を目安
  • DOE(株主資本配当率)2.0%を下限

修正後のEPS433.65円に基づく配当性向40%の目安が、今回の年間174円という高水準の配当に反映されたといえます。
また、PTS終値1,758円で試算する配当利回りは約9.9%と高水準であり、急騰の大きな原動力になりました。


好調な業績の基盤:Q3までの進捗と事業別分析

1. 第3四半期累計期間の実績(2024/10/1~2025/6/30)

  • 売上高:387億88百万円(前年同期比+11.7%)
  • 営業利益:21億93百万円(同+36.9%)
  • 四半期純利益:16億39百万円(同+36.8%)

受注高は465億95百万円(前年同期比+27.9%)と大きく伸長。電力・民需向けPC/ソフト販売に加え、医療情報システムや電子カルテなどヘルスケア領域の伸びが牽引しました。

2. 部門別売上高の貢献

部門売上高前年同期比
ソリューション113億61百万円+29.0%
オフィス78億89百万円+18.8%
サービス87億93百万円+9.9%
ネットワーク107億43百万円-4.8%

増収に加え、特にソリューション/オフィスでの原価低減粗利率改善高い利益成長を下支えしています。


今後の見通しと投資魅力の再評価

1. 財務指標の改善と割安感

10月17日の終値1,458円、PTS価格1,758円を基準に、修正後EPS433.65円を適用すると、PERは約4.05倍(PTS基準)と低水準。同業比較でも明確な割安感があり、収益性向上の織り込み余地はなお大きいと見られます。

2. 株式分割と流動性向上への期待

2025年10月1日付で1→2の株式分割予定(業績・配当予想は分割前株式数で算定)。これにより投資単位の負担感が軽減し、流動性向上投資家層拡大が期待されます。

3. 中長期的な成長戦略と環境認識

ICT・DX投資の継続が見込まれる追い風の中、同社は「FuSodentsu Vision 2027」に基づく事業・基盤の両面強化持続的成長を目指します。オフィス部門の好調や、Q3累計で+27.9%の受注増は、通期の上振れ余地を示唆します。


今後の注目点

  • 高水準な株主還元策の定着:DOE 2.0%下限・配当性向40%目安の新方針で安定×成長の両立に期待
  • ICT/DX投資の継続ソリューション/サービスの継続成長が収益ドライバー
  • 通期本決算の確認2025年11月11日予定の本決算で、修正予想の確度更なる方針確認が焦点

今回のダブル上方修正は、扶桑電通が成長ステージに移行し、収益体質を劇的に改善していることを示唆します。その結果、市場はPTSで即座にストップ高水準で反応し、将来性に対する強い期待を表明しました。今後の関心は、この勢いが持続し、修正後の高い目標を確実に達成できるかに集まるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました